解説 新北九州信用金庫と文書偽造疑惑その2(3)


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―偽造の証拠発見!―

怪しげな影
この手形を初めてみたのは、白黒のコピーによってであった。当初より、「玉江峰子」の署名の書体が小さく、ちぢこまった感じを受けたが、他の手形の署名と比べるとたいした特徴も無く、あまり注目はしていなかった。ただ、この書体は、平成2年9月26日付けの500万円の証書貸付(謎の貸付金(4))の署名と酷似しているので、同じ人物の手によるものではないかとも想像していた。

司法書士事務所勤務のEさんの目撃発言により、銀行印の偽造の可能性があきらかであった。しかし、印影を照合するためには、より鮮明な資料が必要であった。そこで、幾つかの証書原本と前記6点の手形原本のカラーコピーを玉江さんに要求した。送られてきた平成2年3月6日振出の手形のカラーコピーは、それまで見ていた裁判資料等のコピーと比較してより鮮明なものであった。そのカラーコピーを見たところ、「峰」の縦線と「夂」の斜め右下に延びる線が二重に書かれているように見えた。また、「子」にもなにか別の文字のようなものが薄く浮かんで見えた。さらに「江」の「工」の接合部にもなにか別の筆記具で書かれたような痕跡があった。「偽造されているかもしれない!」と思った。そこで、玉江さんに次のようなメールを送った。
原本を確認してください。

平成2年3月6日振り出し約束手形の原本。
これは、玉江さんの直筆でしょうか?

多分、偽造だと思いますが、いつもの偽造犯とはちがう別人ですね。
コピーのせいでしょうか?玉江峰子の名前を書くとき、なぞったような痕がありませんか?
下書きのようなもの。「江」と「峰」と「子」です。

すぐに、電話から玉江さんの興奮した声が聞こえてきた。「あります!あります! ルーペで見るとハッキリ見えます。青い色でえぞった痕があります!」。

偽造発見!
「シッポをつかんだ!」。調査を開始してから約二週間経過した頃であった。多くの人は、裁判が進行している最中もこの手形の原本を見ようとはしなかったのだろう。証拠として提出された白黒のコピーは、コピーの上にコピーを繰り返したため、この微妙な影はほとんど見えなくなっていた。それでも、なんとなくボケた印象をのこしてはいる。しかし、これだけでは、別な人物が「玉江峰子」の下書きをなぞっているとは、誰も気づかなかったに違いない。

手形原本の署名中「玉江」と「峰子」を1200dpiにて、スキャンした映像を示す。(HPの都合上70%に縮小している。)

図5.2年3月6日振出手形の署名中「玉江」

図6.2年3月6日振出手形の署名中「峰子」

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